労働相談22:契約書チェック1
Q 当社は,小規模な会社であるため,独立した人事部や法務部がありません。総務部の私と部下達で,給与計算などの労務と,契約書チェックなどの法務を行っています。従業員数も多くないので,業務量自体は多くありません。また,複雑な給与計算もないので,労務部門については,特に問題なく行えていると思います。ただ,契約書チェックについては,私も部下もあまり経験がなく,不安を抱えています。複雑な内容の契約書については,その都度提携している法律家の先生に相談しているようなのですが,比較的シンプルな契約書チェックについては総務部の業務となっています。契約書チェックのポイントについて,簡単に教えて下さい。
A ご相談者様の会社のように,労務も法務も総務部が行っているというケースは,小規模の会社では多いかと思います。
契約書チェックには,形式的チェックと法律的チェックの2つの側面があります。
今回は,契約書の形式チェックについてご回答致します。
形式チェックの第1段階は,誤字脱字・変換ミス・文脈がおかしい箇所を修正することなどです。
次に,形式面でありがちなミスの中に条文引用ミスがありますので,これをチェックする必要があります。
例えば,「第●条の・・・」と記載したものの,引用元の条文が第●条では内容がおかしくなっている場合などです。
条文の引用がある場合,必ず引用元と照らし合わせてチェックする必要があるといえます。
既に作成した契約書に後から条項を増やす場合,1つずつ番号をずらしていくと,引用ミスが起こりやすくなってしまいます。そのため,後から条項を増やす場合は「第●条の2」などのように枝番をつけるのも,引用ミス防止のためには有用です。
また,(「以下●●」という。)などというまとめ用語を使っている場合にも,ミスが生じやすいため,チェックする必要があります。
例えば,本契約と本件契約,本材料と本材料等など,似たような用語であっても,契約書上は異なることを意味する場合もあります。そのため,何を意味する用語なのか,常に定義づけの部分に戻ってチェックする必要があります。
次回は,法律的チェックについてご回答致します。
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