労働相談21:能力不足を理由とした解雇2

Q 能力不足を理由として普通解雇する場合,指導・注意しても改善されないということが必要で,記録を残しておく必要があることは,前回の質問に対する回答で理解しました。実は,当社が普通解雇を考えている従業員は2人いて,1人は新卒採用,もう1人は中途採用の従業員なのです。普通解雇を検討するに当たり,この2人への対応は同じで大丈夫でしょうか。

A 前回のご相談で,普通解雇事由として能力不足が規定されているとしても,解雇が有効と認められるためには合理性と社会的相当性が必要であり(解雇権濫用法理),後に解雇の効力を争われた場合に備えて,指導・注意をしたにもかかわらず改善がみられないという事実を記録しておく必要があることをご回答致しました。

 指導・注意というものは,個々の従業員に対してなされるものであるため,従業員の立場や年齢などに応じて異なることが通常であるといえます。

 そのため,普通解雇の有効性の判断材料としての指導・注意が必要な程度は,従業員の採用区分,特に新卒と中途採用では異なると考えられています。

 新卒・総合職としての採用というのは,長期雇用システムを前提としての採用であり,採用された従業員の年齢も若いことが多いと思われます。つまり,入社後の指導によって業務に必要な能力を身につけていくことが想定された採用であるといえます。

 そのため,新卒・総合職で採用した従業員に対しては,まずは指導・教育により能力不足が改善されるようにする必要があります。それでも能力不足が改善されないようであれば,次に配置転換等を行い,当該従業員に合う部署があるかを検討します。再三の注意や配置転換等の工夫を行っても,当該従業員の能力不足が改善されない場合に初めて,普通解雇が可能になるといえます。

 一方,中途採用の場合は,即戦力を期待しての採用も多いと思われます。そのため,新卒採用より指導の程度が少なくても普通解雇は可能であるといえます。

 結論としましては,御社における新卒採用の従業員と,中途採用の従業員の普通解雇を検討するに当たり,一般論としては指導・注意が必要な程度は異なるということになります。しかし「新卒だから」,「中途採用だから」と形式的に捉えるのではなく,最終的にはそれぞれの従業員の立場や年齢などに応じた適切な指導・注意を行う必要があるということになります。

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