労働相談16:副業・兼業について・パート2

Q 「働き方改革」で,副業や兼業を推進する風潮になっていると聞きます。 当社でも,副業や兼業を希望する従業員がいれば,特に問題なければ認める方針を考えていますが,現在の就業規則では「許可なく他の会社等に業務に従事しないこと」になっています。変える必要はありますか?

 また,労働時間の規制や労災への対応,企業秘密の漏洩ついても心配ですので,アドバイスを下さい。

A パート1では,本件で就業規則の変更が必要か否かと,労働時間の規制への対応についてご回答しました。今回は,労災への対応,企業秘密の漏洩について,厚労省から平成30年1月に発表された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と,これを補足する「Q&A」を踏まえてお答え致します。

 まず,労災における業務の過重制の判断に当たっては,「個別事業所ごとの業務に着目し,その業務に内在する危険性が現実化して労働災害が発生した場合に保険給付を行うこととしている」ことを理由として,副業・兼業を行っている場合でもそれぞれの就業先での労働時間を合算せず,個々の事業所ごとに業務の過重制を評価するとしています。

 しかし,例えばA社とB社に雇用されている従業員が,過重労働が原因でうつ病を発症したような場合や,自宅でいわゆる過労死したような場合,具体的に業務の過重制の判断としてA社とB社のどちらの労働時間を基礎として判断するのかについては明記されておらず,今後の議論や裁判例などの集積を待つ必要がある状況です。

 なお,業務を終えた後に別の就業先への移動中に発生した通勤災害については,移動先で労務の提供を行うための通勤であると考えられるため,移動先の事業場の保険関係で行うものとするという通達があります。つまり,A社での勤務を終えてB社に向かう途中で通勤災害が発生した場合,B社の労災保険を適用することとなります。

 企業秘密への対策については,副業・兼業を認める場合にも,既に行っている事業場との関係で,企業秘密漏洩や競業のおそれがないかを確認する必要があります。

 この点,モデル就業規則でも,従業員が就業規則上負っている秘密保持義務や競業避止義務に違反しないことを企業が確認する必要があること等を目的として「事前に会社に所定の届出を行う」と規定されています。

 届出の書式については,ガイドラインにもQ&Aにも記載されていないため,各会社で書式を準備する必要がある状況です。   また,ガイドラインとQ&Aには記載されていませんが,副業・兼業先に雇用された後も,秘密保持義務や競業避止義務に関する誓約書などを取得することが有用かと思います。                              

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