労働相談15:副業・兼業について・パート1

Q 「働き方改革」で,副業や兼業を推進する風潮になっていると聞きます。

当社でも,副業や兼業を希望する従業員がいれば,特に問題なければ認める方針を考えていますが,現在の就業規則では「許可なく他の会社等に業務に従事しないこと」になっています。変える必要はありますか? 

また,労働時間の規制や労災への対応,企業秘密の漏洩ついても心配ですので,アドバイスを下さい。

A 「働き方改革」により,副業・兼業を容認する方向に社会が動いています。

厚労省が公表しているモデル就業規則も,以前はご質問の会社と同じく「許可なく他の会社等に業務に従事しないこと」と記載されており,副業・兼業を原則として禁止する内容になっていました。

新たに厚労省が公表したモデル就業規則では「勤務時間外において,他の会社等の業務に従事することができる」と記載され,原則として容認する内容に変わっています。

しかし,『副業や兼業を原則として容認しなければならない』という法規制があるというものではありませんし,副業や兼業において会社の許可制とすることも一定の合理性があるといえます。

そのため,ご質問の会社の現在の就業規則を変更する必要まではないと思われます。

副業・兼業を認めるに当たっては,労働時間や健康(特に労災が生じた場合の対応)などの管理,秘密保持義務などの関係で様々な対応を行う必要があります。

厚労省から平成30年1月に発表された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と,これを補足する「Q&A」では,これらの問題点について一定の考えや基準を示しており,実務上参考になるといえます。しかし,具体的内容や取扱については「対応が必要である」「留意が必要である」と指摘するにとどめている箇所もあり,今後の議論が待たれる部分もあります。

このような状況を前提として,会社が副業・兼業を容認する場合の注意点に関するご質問について,ご回答致します。

まず,労働時間の点についてです。労働時間に関する規定については,労基法及び通達により,事業主が異なるとしても通算するとされています。

そして,厚労省のガイドライン及びQ&Aによると,労働時間については,通算により法定労働時間を超えて労働させるに至った使用者が割増賃金を支払う義務を負うため,一般的には後から労働契約を締結した会社となると記載されています。例えば,既にご質問の会社に雇用されていて法定労働時間に達していない労働者が,後からA社との間で雇用契約を締結して法定労働時間外労働が発生した場合,A社が割増賃金を支払う義務があるということになります。

しかし,労働時間を把握するための具体的方法については,ガイドライン及びQ&Aにも特に定められていません。

特に,労働者の申告労働時間数が実際と異なった場合の対応や責任については,少なからず発生する危険性があることが想定されるにもかかわらず,ガイドラインやQ&Aには記載されていません。そのため,今後の議論に引き続き注意する必要がありますが,現時点では労働者からの自主申告に依らざるを得ない状況であるといえます。

労災への対応,企業秘密の漏洩については,パート2でお答え致します。

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