労働相談13:減給処分の具体例

Q 従業員に対して,減給の懲戒処分を行おうと思いますが,具体的にいくらまで減給して良いのか,条文などが難しくてなかなか理解できません。分かりやすく教えて下さい。

A 懲戒処分とは「企業秩序に違反した労働者に対する制裁として,使用者が一方的に不利益な取り扱いを行う処分」を指します。

 どのような懲戒処分を定めるのかは企業の判断によりますが,大体は5~6種類程度の懲戒処分を定めることが多いようです。

 減給を懲戒処分として行うためには,就業規則で規定している必要がありますので,以下では,会社の就業規則に減給処分の定めがあることを前提としてご説明します。

 減給処分とは,「労務提供に対して支払われるべき賃金から一定額を差し引くこと」を指します。

 賃金は,労働者やその家族の生活を支えるものですので,多額の減給をしては労働者の生活を脅かすおそれがあります。

 そのため,減給可能な金額について制限する規定があります(労基法91条)。

 まず「①懲戒事案1回に対し,平均賃金1日分の2分の1以下の減給を超えてはならない」という制限です。

 これは,2分の1以下であれば何日も減給して良いというものではありません。

 例えば,平均賃金1日分が1万円であった場合,懲戒事案1回の上限は5千円ということになります。

 この規定のみを見ると,懲戒事案が複数あれば5千円を複数回減給することができるようにも思われます。

 しかし,もう1つ制限があり,それが「②減給の総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならない」というものです。

 例えば,平均賃金1日分が1万円で,1賃金支払期(通常は1ヶ月)の賃金総額が20万円であった場合,総額は2万円までということになります。

  つまり,5千円の減給を4回までしか行うことができないのです。

 もし,減給分が10分の1を超えて残っている場合(例えば1ヶ月に5回の懲戒事由があり,それぞれに対して減給処分を行おうとした場合)には,翌月の賃金から差し引くこととなります。

 具体的な数字を見ると,減給できる1回当たりの金額は多額ではないことがお分かり頂けるかと思います。

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