労働相談2:従業員が業務上の必要がないのに,勝手に残業しています

Q 従業員が業務上の必要がないのに,勝手に残業しています。残業しないようにと注意すると,「生活のために残業代を稼ぐ必要があるので,残業を禁止されると困る。」と言われてしまいました。どのように対応したら良いでしょうか。

 

まず,会社としては残業の必要性が本当にないのかを調査する必要があります。

もし,所定労働時間中に終わらない程の業務量であるにもかかわらず,会社が何も対策を行わずに「残業を禁止する」と言うのみでは,明示の残業命令がなかったとしても黙示の残業命令があったと判断されて残業代を支払う必要が生じるおそれがあるためです。

調査に当たっては,残業している従業員のみならず,周囲の従業員からも業務内容や業務量を聴取します。

調査の結果,残業の必要性があって長時間労働となっていることが明らかとなったのであれば,業務の改善や調整を行う必要があります。

一方,残業の必要性がないにもかかわらず会社に残っている(いわゆる「ダラダラ残業」)のであれば,当該従業員に対して注意します。

この時,後に当該従業員から残業代請求などがなされて裁判等になった場合に備え,文書等で,残業の必要性がないと判断した理由,それにもかかわらず当該従業員が会社に残っていることを明記した上で注意する必要があります。

それでもダラダラ残業を止めない場合,会社としてはけん責などの懲戒処分を検討する必要があります。

ご質問のように,従業員から「生活のために残業する必要がある」と言われた場合,会社はこれに応じる必要はありません。

そもそも,就労は労働契約上の義務であって権利ではないと考えられており,労働者には就労請求権はないと解されています。そのため,労働者が使用者に対して残業を請求する権利もありません。

生活費を稼ぐために不必要な残業をすること(いわゆる「生活残業」)は,ワークライフバランスが崩れて労働者の心身に負担がかかり,会社にとっても不要な支出が増えて負担です。

それだけではなく,従業員の日中の生産性が低くなる結果として,当該従業員に対する会社からの評価が低くなり,給与額にも反映されてしまうという点で,労働者の給与面においてもマイナスです。

会社としては,当該従業員に対する注意や制裁だけではなく,不必要な残業が労働者に与えるデメリットも十分に説明して理解を得る必要があると思われます。

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